#8 ノック


提供者:伊藤さん@奈良在住
体験者:本人
場 所:宮城野区東仙台

私はこれと言って霊感があるという訳ではありません。
怖がりではあります。(^^;
だからこの体験が霊に関するものかどうか分からないのですが、 私が仙台で体験した不思議な体験をお話します。

私は学生時代、宮城野区東仙台にある仙台留学生会館という所に 住んでいました。
(留学生を対象にしたこの会館には夜間の電話番の ために私を含め数人の日本人学生も住んでいました。)

ある日曜日の朝でした。
前日の飲み会で酔って帰ってそのまま眠ってしまっていた私は、 ドアをノックする音で目を覚ましました。

「はい」そう言って起き上がろうとした時、 何と運悪く金縛りにあってしまったのです。
まあ、金縛り自体はたまに経験してましたし、 医学的にも説明が出来るとか聞いてましたもので、 別に怖くも何ともなく、それよりも、 せっかく来てくれた人に応対できないことの方が気になってました。

「どうしよう、何もこんな時にかからなくてもいいのに〜」
とか思っている時、部屋のドアが少し開きました。
ちょうど、体を起こそうとした時に金縛りにあったので、 僕の顔はドアの方を向いており、その人がドアから顔を 覗かせるのは分かったのですが、ドアの向こうに窓が あって、ちょうど逆光になって、その人の顔は見えませんでした。

「遠藤さんとカトリーヌさんが呼んでるよ」

その人はそう言うとドアを閉めて去っていきました。
その声は、宿直の小川さん(60歳近い)という方の声でした。
「遠藤さん」というのは同じ日本人学生の先輩。
「カトリーヌさん」というのは留学生でした。
しばらくして金縛りが解け、とにかくその遠藤さんたちが 何の用事なんだろうか、ということで、遠藤さんの部屋に 行ってみると、カトリーヌさんとあともう一人の留学生と一緒でした。

「何か僕のことを呼んでおられたそうで」

「え?呼んでないよ」

「え?だって、さっき小川さんが、、」

本当に心当たりのない様子だったので、とにかく、一階の事務所へ せっかく部屋へ伝言に来てくれたのに応対できなかったお詫びも含めて、 小川さんに確認に行きました。

「先ほどはすみませんでした。」

「え?何のこと?」

「え?さっき僕の部屋にいらっしゃいませんでしたか?」

「いや、、行ってねえけどなあ」

そう言われてみると、小川さんの声だったかどうか、というと 確信は持てませんでした。
ただ、その声はどう考えても、 日本人の声であることは間違いありませんでしたので、 私は、日本人学生全員に聞いてみました。

しかし、誰一人として心当たりがない様子でした、、、。

もしかしたら、夢だったのかもしれません、、、
でも、その声が言った通り、遠藤さんとカトリーヌさんが 一緒にいたのです。単なる偶然でしょうか、、?

「もしかして、あいつか?」その話を聞いた人は 冗談めかして口々にそう言いました。
実はその何年か前にその会館の屋上で首吊り自殺をした 先輩がいたのです。
私も面識がありました。
でも、その声は、その先輩とも若干違うような、、。

よく考えると、その留学生会館のある所は、崖の脇に建っていて その崖の中腹にお墓があって窓から見えたり、 近くに教会があったりして、割と異様な雰囲気ではあったような 気がします。
ただ、仙台にいる間、私はそういう雰囲気の場所でも 「怖い」と思ったことが一度もありませんでした。
もしかしたら、関西人の私にとっては、 東北の幽霊は東北の人と同様、純朴で優しくて、 恐ろしい存在ではないのかもしれませんね。