#533 囲む顔


提供者:カッツェさん
体験者:本人と友人
場 所:宮城野区「蒲生の廃虚ホテル」
掲載日:2004/07/17

10年以上前の話だけど、当時心霊スポットとして有名だった所に 「蒲生の廃墟ホテル」って言うのがあった。
ある日、会社の奴らと一緒にワンボックスに乗ってそこまで行こうという事になり、 俺と同期の奴、自称霊感の有る後輩、そして3年上の先輩の計4人で向かった。

時間は夜の8時頃。
途中から悪路になり、ガタガタと走って行くとそれがあった。
管理棟なのだろうか?
焼け焦げた2階建てのコンクリートの建物が見えてきて、
「おお、あれだあれだ!」
とまさに心霊スポットに来てます!というノリで ワクワクしながら車を降りていった。
例の「霊感が強い」後輩は
「降りるのは勘弁してください!」
と言い出した。
「おいおい、盛り上げてくれるね〜」
などど言いながら連れ出そうとしたのだが、 どうしても嫌がるので仕方なく車に残して3人で探索を始めた。

そこには焼け焦げた管理棟の他に、 10基ほどのコテージ風の部屋が有り、 部屋の方はしっかりと板張りされて入れない。
そこで管理棟の方を懐中電灯片手に探索する事にした。 <> 中は荒れ放題だし壁は黒く煤けていて、 「火事で焼けたんだな」と一目でわかる状態。
海沿いのために遠くで波の音が「ザザァ〜ン」と響いてくる。
雰囲気は有るよ、ほんと。
そして2階に上がり、穴だけになった窓から外を見た。
そこから俺らの車を見ると後輩が一生懸命手を振ってるのが見えた。
俺らも
「おお〜い」
と脳天気に手を振り返したけど、 なんか様子がおかしい・・・
「戻ってきて!早く!!」
必死になって叫んでいるんだ。
「はあ??」とか思いながら車に向かって歩いていくと、
凄い声で
「早く!!」
と叫んで言う。
「なんだよ、なんか有ったのか?」
と聞くと妙な事を言い始めた。
「先輩の肩に男がしがみ付いてる」

別に肩も重くないし、体調も普通だ。
ちょっと肩を払うような動作をして、 それでも気味が悪いので車に戻ったのだが、 今度は
「早く車出してください!!」
と半狂乱になっている。
「なんだよ?いったい!」
と聞くと・・・
「車、囲まれてるんですよ!!」

で、このワンボックスね、開口部が多いんですよ。
「スカイライトルーフ」とか言って屋根にも窓が有るし。
その窓と言う窓から覗く顔、顔、顔・・・
見える人にはそれは『恐怖』、でしょうね。
でも後輩以外は見えないから、俺も含めて「はあ??」って感じだし、 まあ、とりあえず現場を離れる事にした。
バイパス沿いのファミレスまできてようやく一息ついたんけど、 後輩の顔色があまりにも悪いので、その日は解散って事になった。

次の日出社したら、今度は先輩も具合悪そうな顔をしていた。
ちょっと気になったので
「どうしたんです?なんか有ったんすか?」
と、聞くとこんな話をしてくれた。

後輩をとりあえず送った後、先輩は彼女の家に遊びに行ったんだそうな。
彼女のアパートに着いた時、タイミングよく彼女が窓から顔を出したので、 クラクションを鳴らして手を振ったんだけど、 なぜかすぐ窓を閉めてしまったそうだ。
ちょっと不信に思ったけど、まあ気にせず そのまま彼女の部屋をノックしたら、彼女、凄く不機嫌なんだって。
「なんだよ、なんか有ったんか?」
って先輩が聞いたら、唐突に
「だれよ?」
という返事。
『はあ?』でしょう?
そんな事いきなり言われても。
で、問い詰めたら
「助手席に女乗せてきたでしょ!」 だって。

彼女の手を取って車まで行き、誰も居ない事を確認させると 彼女、真っ青になったそうです。