"その男"に出会ったのは今から5年前、お盆休みの時だった。
時間は夜11時頃だったのを覚えている。
その日、山形観光をして友人と二人、福島の自宅へ帰る途中の私たち
国道13号線を南下していた。
それまで楽しく盛り上がっていた私たちは、
これから恐怖体験をするなんて夢にも思っていなかった。
栗子トンネルにさしかかるまでは...
トンネルに入った途端異様な圧迫感を感じたが、
別に気にする事もなく、鈍感な私たちは会話を続けていた。
段々と狭くなるトンネルも、別に気にするほどのことでもなく、
また、はるか向こうに白い物体を見つけた私たちであったが、
それも特に気にすることもなかった。
しかし、さすがに"それ"が近づいてきた時は
パニックを起こさずにはいられなかった。
なんと、その男は真夏に白いコートを着て
斜め45度に傾いて歩いていたのである。
それでも
「生きている人間だって、たまには45度に傾く奴もいる!」
と叫んで、何も見なかった事にした。
しかし、それだけでは済まなかった。
友人と別れて、さらに車を走らせていた私は、
途中トイレの為コンビニに立ち寄った。
そして、トイレから出た途端,
白いコートを着た男が、トイレの前にたちはだかっていた。
私は思わず悲鳴をあげてコンビニから逃げ出した。
そして、しばらくしてまたもやトイレに行きたくなったので、
再度コンビニに立ち寄った。
「さっきのは気のせいだから。他人の空似だから…」
そう言い聞かせ、店内に客がいないのを確認し、
トイレの中に誰かが入って来たら分かる、静かに用をたしていた。
そして、トイレから出る前にトイレの下にある空気を通す穴から
外をのぞいた。
「よし!誰もいない!」
そう言い聞かせドアを開けたとき、
外には白いコートを着た男が...