#488 ボートに...


提供者:求むパセオさん
体験者:求むパセオさんの友人
場 所:山梨(番外編#101「富士五湖」)
掲載日:2003/09/20

これは6年前友達から聞いた話です。
彼は私が知る中で一番霊感の強い人でたびたび怖気立つ体験を 話してくれたものですが、その中でも最も怖かった話・・・
(彼の名を仮にUとします)

中学校の卒業記念にUが友達5人を連れて計6人で富士五湖のどれか (確か川口湖)に何泊かの旅行に行ってきたときのことです。
その日、U達一行は予定よりかなり遅れて宿泊先であるロッジに 着いたそうです。
疲労により友達3人はとっとと寝てしまったのですが、 まだまだ眠くもなんともないU、他2人は湖に夜釣りに出かけました。

しばらく釣りをしていると湖の上、遥か向こうに何かが見えたそうです。
ですが、『気にするほどのものではない』 と判断したUはそのまま釣りを続けました。
しかししばらくすると、さっき見えた何かがこちらに近づいてきたそうです。
どうやらそれはボートのように見えたといいます。
『こんな時間になぜボートが?』
不思議に思ったUが友達に話すと、友達も『確かに変だ』と いつの間にか3人で釣りも放っといて、 そのボートを観察し続けました。
そのボートは不安定にゆらゆら揺れながら少しずつこっちに近づいてきます。

しばらくすると、そのボートには何かが乗っているのが分かったそうです。
もうしばらくすると、それが人間であることが!
さらにしばらくすると、着ている物が白のTシャツにジーンズであることが!!
そして、さらにしばらくすると、それが女性であることが!!!
そして、またさらにしばらくすると、その女性には表情がないことが!!!!
Uが言うには、表情がないというのは決してポーカーフェイスのことでは ないそうです。
逆に言えば『あれほど恐ろしい表情はない』と言ってました。

そのときボートはもう岸まで5メートルとない位置で、 U達は我先にとロッヂに逃げ込みました。
3人では恐怖を消しきることが出来ず、寝ている友人をしどろもどろの説明で 起こそうとしました。
ところが、目は覚ましたもの誰も起きて来ようとはせず 恐怖に打ちひしがれていると、 ロッヂの入り口のドアがノックされたそうです。
それは静かなノックだったらしいのですが、 どういうわけかそのノックで寝ていた3人は飛び起きました。
からみ付くような恐怖の中で6人は耳を澄ませてドアを凝視していると、 また
『とん、とん、とん』
6人が布団の上で身を寄せ合っておびえていると、また
『トン、トン、トン』
・・・そして・・・
『トン!トン!トン!』
『ドン!ドン!ドン!』
『ダン!ダン!ダン!』
『ガン!!!ガン!!!ガン!!!』
みな一斉に布団にもぐりこんだものの一向に止む気配はなく、 しまいには壁という壁を四方からしかも同時に蹴りつけられたそうです。

布団の中でおびえること十数分、ようやく嵐のような壁叩きが終わったそうです。
恐怖から開放された気の緩みからかUが湖側の窓にかかるカーテンを開けると そこには・・・!
あの無表情の女がガラスの向こう数センチという距離で中を えぐるような瞳で覗いていて・・・
Uは勢いよくカーテンを閉め、そのまま6人は眠れぬ夜を過ごし、 日の出と同時にロッヂを抜け出て帰宅したそうです。
『後日、そこが自殺の多発地帯だと知って納得した』とUは言ってました。

修学旅行の夜にたまたま話してもらった体験談なのですが、 思い出しながら震えるように話していたUの姿が印象的でした。