#395 うちに帰りたい


提供者:どれどれ先生さん
体験者:本人
場 所:仙台市内
掲載日:2002/09/28

転勤で仙台市に住んでいた頃、地元の出身者を 仕事のパートナーとしていました。
彼は借家住まいで毎月家賃を大家さんに手渡ししていたそうです。

ある夏の月末、本人が多忙なのと、 渡しに行っても大家さん(お年寄)が不在だったりと 家賃を渡せない日が続きました。
ある日、その事を気にしながら 夜10時半に帰宅すると、大家さんの家に明かりがついており、 また大家さんの人影が窓に映っていたそうです。
本人は『こんな(遅い)時間に訪ねては迷惑かな』 と思い悩んで結局その日は行きませんでした。

ところが翌日、大家さんの家で不幸があったらしく お葬式になってしまいました。
それで、家賃を渡そうと思っていたもののまた 行き違いが多く、先日やっと渡せたのですが 応対したのは大家さん自身ではなくご家族の方で、 これまでの事情を話すととても驚いていたそうです。

因みに亡くなったのが大家さん自身で、 彼が人影を目撃したその日の夜、 入院していた(だから行き違いになることが多かった)大家さんの 容態が悪化して、午後7時過ぎに同居していたご家族の方はみな車で 病院に向かったそうです。
そして、午後10時半ごろ大家さんはご家族・親戚が集まった病院で 亡くなったとのこと。
その時間、大家さんの家に誰かいるはずもなく、大家さんはベッドで 「うちに帰りたい... うちに帰りたい...」
と最後まで言い続けていたそうで、それを聞いて 大家さんの魂が家に帰ったのだ、と皆思ったそうです。

私の仕事のパートナーは猛暑の中、 しばらく寒い気分を味わったとのことでした。
最後に、この話は実話でしかも日がまだ浅く、 忠実すぎると関係者の気分を害しそうなので、 少しだけ登場人物を脚色しました。
悪しからずご了承願います。