#240 短冊

バンダイさんからの投稿です。

昔、付き合っていたヒロシは、いい男でしたが、すごいワキガでした。
ヒロシ自身は自分のワキガに気付いていないようだったので、
あたしも彼の友人も、ヒロシの前でワキガの話をすることは一度もありませんでした。

ある日のこと、ヒロシとあたしはハピナ名掛丁にある 某ゲーセンに遊びに行きました。
七夕祭りが近かったので、店内には大きな竹が飾ってあり、 沢山の短冊が吊るされていました。
ゲーセンに来たお客さんが書いたのか〜、 と思いながら何となく短冊を見ていたら、
「ワキガが治りますように。ヒロシ」
と書いてある短冊を発見してしまいました。

あたしは無表情でしたが、心の中では大いに驚き、動揺しました。
ヒロシ、気付いてたの?そして悩んでいる?それともこのヒロシは別人???
当のヒロシは、UFOキャッチャーに集中してるし、 あたしは戸惑いながらもその場を立ち去ろうとしました。

そしたらあたしのそばで同じように短冊を見ていた小学生の男の子二人組が、
「ワキガは病院行かなきゃ治んねえよ、気の毒だな〜このヒロシって奴」
「でも手術すれば治るんだろ? そう言えばキムタクもワキガだって週刊誌に載ってたよ」
とか何とか、しみじみ語り始めました。
あたしは何だかとってもせつなくなってしまいました。

ヒロシと別れてもう何年も経った今でも、 七夕の季節になると決まってこの事を思い出します。